自転車がつくる未来 世界最先進地ヨーロッパより

❻オランダの自転車道ネットワーク

車より自転車の方が速くて便利な街

人の数より多い自転車

 オランダでは、街の郊外に出てもどこまでも車道と独立した自転車道が続きます。「外国人は間違えて車で自転車道を走ってしまう」と言われるくらい広い自転車道です。網の目のように国中に張り巡らされ、自転車道だけでどこへでも行けます。
 オランダでは、「人の数より、自転車のほうが多い」と言われます。生活用とサイクリング用など一人複数台自転車を持っているのが普通だからです。

車は役に立たない

 オランダで4番目に大きな街・ユトレヒトの郊外に、自転車を交通の中心に計画的につくられたハウテンという街があります。人口5万人ほどのベッドタウンです。駅付近には車が1台もなく、走っているのはすべて自転車です。

ハウテンの駅前風景(正面の建物が駅。走っているのはすべて自転車)

 街の構造は輪切りにしたミカンを想像してもらうとわかりやすいです。中心に駅があって、ミカンの袋のようにいくつかのブロックに別れています。車でブロックの間を移動しようとすると、一度街を取り巻く環状道路(ミカンの皮の部分)まで出てぐるっと回る必要があります。一方、自転車は、自転車道が駅を中心に放射状に各ブロックをつないでいるので最短距離で移動できます。車は街中では役に立たないので、走っている車はほとんどありません。子どもも自由に自転車で走り回っています。ユトレヒトとの間も、当然自転車道でつながっています。

通勤用の自転車高速

 次の写真はナイメーヘンという街の自転車高速道路です。ナイメーヘン中央駅と街北部に新しく開発された住宅地の約2kmを結んでいます。すべて高架で途中に交差点や信号がなく、ノンストップで走れます。街の郊外に住む人々が車を使わず、自転車で通勤するように作られたそうです。

ナイメーヘンの自転車高速道路

 このように、オランダの道はどこへ行っても自転車に便利なようにネットワークが作られています。車より自転車のほうが早くて便利な街です。

「滋賀民報」2023年1月15日号より

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