自転車がつくる未来 世界最先進地ヨーロッパより

❷「ビワイチ」の本当の目的は?

観光、暮らし…自転車のいいところ

 滋賀県では、「ビワイチ」という言葉をよく聞きます。びわ湖一周サイクリングのことで、日本各地や海外からも滋賀県に来ていただき、地域振興につなげようと、県などが環境整備やPRに力を入れています。
 こうした自転車での観光を「サイクルツーリズム」と言います。そのいいところは、歩くよりも広い範囲をまわれ、車や公共交通と違って、自然の風、その土地の空気を直接感じられること。気になるお店などがあれば気軽に停まって立ち寄れるだけでなく自転車に乗っている人には、地域の人も声をかけやすいので、交流が生まれます。その結果、地域を旅するファン・リピーターを増やすことができるのです。

様々なスポーツ自転車が揃う米原駅サイクルステーション(写真提供:NPO法人五環生活

温暖化防止、健康増進に

 自転車の効用は、もちろん観光だけではありません。車での移動を自転車に替えることでCO2排出量の削減になり、温暖化防止に役立ちます。その上、自転車での運動は、メタボ防止や健康増進に効果があります。
 また子どもが自転車で小さな冒険をすることで自立心とバランス感覚が養えます。高齢者には免許返納後の交通手段にもなります。
 自転車を好きになっていただくと、普段の生活でも自転車を使うようになると思います。自転車は今、日本だけでなく、世界中で未来の交通手段として注目され、利用環境の整備が行われています。

湖岸道路に整備された自転車レーン

ヨーロッパは最先進地

 自転車の最先進地域・ヨーロッパ各国を見てみると、自転車が日本で多くの人が考えているより、ずっと大きな可能性を持っていることがわかります。
 次回からは、私が今年5〜8月に自転車でまわってきた、ヨーロッパ各国・各都市の自転車の使われ方や利用環境についてお伝えしていきます。

「滋賀民報」2022年9月11日号より

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