自転車がつくる未来 世界最先進地ヨーロッパより

⓫レースが自転車文化をつくる

大人気の自転車レース「ツール・ド・フランス」

世界の自転車レースの最高峰

 世界の自転車レースの最高峰といえばツール・ド・フランス。オリンピック、サッカーワールドカップに並ぶ世界3大スポーツイベントとして挙げられることもあります。
 2022年7月1日、デンマークのコペンハーゲンをスタートし、3日間デンマーク国内を走った後、約3週間かけてフランス各地をめぐり、7月24日にパリのシャンゼリゼにゴールしました。その、初日とゴールを観てきました。

交通を止めて、何万人もが観戦

 2日目以降は、連日200km前後を走りますが、初日は短距離のタイムトライアルです。
 コペンハーゲン中心部の交通を止めて、13.2kmのコースが組まれ、選手が順にスタートしてタイムを競います。レースは午後から始まるのですが、午前中はそのコースを誰でも自由に走れます。市内の見所をめぐる、観光としても面白いコースです。そして、午後からのレースは何万人もの観戦者でごったがえします。
 街の中心部の交通を止められること、これだけの人が集まるということは、いかに自転車レースに人気があり、社会に受け入れられているかということを感じます。

コペンハーゲン市内のタイムトライアルコースを自由に走る人々

欧州で自転車政策が進む背景に

 パリのゴールでもシャンゼリゼや凱旋門の周辺の交通を止めてコースが組まれ、やはり何万人もの人が集まりました。個人総合優勝はデンマークスタートに合わせたように、デンマーク人のヨナス・ヴィンゲゴー選手でした。優勝者はまさに国民的ヒーローです。コペンハーゲンで行われたヴィンゲゴー選手の凱旋パレードにも数万人の観衆が集まったそうです。

パリ・シャンゼリゼでのラストスパート。デンマークの国旗を掲げた応援団も(22年7月24日)

 このように自転車レースが国民的イベントになっていることで、子どもたちは選手に憧れ、自転車に乗るようになります。また、一般の人たちの自転車に対する理解も進みます。欧州で自転車政策が進む背景には、自転車レースの文化がある、ということを改めて感じました。

「滋賀民報」2023年6月11日号より

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