自転車がつくる未来 世界最先進地ヨーロッパより

❹コペンハーゲンの自転車道

世界一走りやすい、自転車に優しい街

ツール・ド・フランス

 世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランス。今年のスタートはデンマークのコペンハーゲンで、かつデンマーク人が総合優勝したことで、デンマークが大いに盛り上がりました。コペンハーゲンがスタート地点に選ばれた理由は、自転車インフラが整備され、自転車が人々の日常に根付いているからだと言われます。常に世界の自転車に優しい都市のトップを争う街です。

自転車用の信号が

 市内の広い道には必ず両側に、車の1車線分ほどの幅の自転車道が整備され、歩道とも車道とも数センチの段差が付けられています。世界各地を自転車で走ってきましたが、幅の広さと道の両側に必ず自転車道があるという安心感で、コペンハーゲンの自転車道は世界で最も走りやすいと思います。交差点には車や歩行者用の信号とともに、自転車用の信号があり、自転車を優先するために車の信号より数秒先に青になります。

コペンハーゲン市内の自転車道(手前の自転車がクリスチャニアバイク)

車なしの生活ができる

 コペンハーゲンでは、通勤・通学の交通の半分を自転車が占めています。自転車が3台並んで走れる、自転車の前に大きな箱に子どもや荷物が載せられる「カーゴバイク」を追い越しできるように、幅の広い自転車道が確保されています。
 カーゴバイクがよく使われており、子どもが2人以上いる家庭の26%がカーゴバイクを持っています。市内にクリスチャニアというヒッピーたちのコミュニティがあり、そこで車がなくても生活できるようにと開発されたカーゴバイク「クリスチャニアバイク」が有名です。
 コペンハーゲン市内には多くの水路があり、近年は車より自転車が早く移動できるように、その水路をまたぐ自転車用の橋が次々と整備されています。ここ数十年で架けた橋はすべて自転車・歩行者用とのことです。

「スネーク」と呼ばれる自転車専用の橋

「滋賀民報」2022年11月13日号より

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