自転車がつくる未来 世界最先進地ヨーロッパより

❸急速に自転車都市化が進むパリ

車を使わず職場、学校に15分で行ける街へ

3分の2が自転車道に

 今回のヨーロッパへの旅で、一番印象に残ったのはパリでした。
 観光客なら誰もが行くルーヴル美術館やパリ市役所の横を通るリヴォリ通りの3kmの区間が大きく変わっていました。
 車専用だった2車線の一方が自転車道に転用され、以前からある自転車道と合わせると、道路の3分の2を自転車道が占めるまでに。残りの車線もバスやタクシー、緊急車両等、許可車だけしか通れません。

3分の2が自転車道になったリヴォリ通り。(右の建物はルーヴル美術館)

「自転車の都」をめざす。

 パリでは、イダルゴ市長が「世界の自転車の都」をめざし、「通勤交通の5%に過ぎない自転車のシェアを、2020年までに15%まで高める」ことを目標に自転車道の整備を進めてきました。
 コロナ禍で公共交通が避けられ、自転車が急に増えたため、「コロナピスト」と呼ばれるブロックで車道を区切った自転車道が臨時で作られましたが、それが現在、正式な自転車道として次々と整備されています。走っている自転車も10年前に来たときと比べて驚くほど増えました。
 以前は車専用だったセーヌ川河岸の道も自転車・歩行者専用になり、多くの人が散策し賑わっています。ルーヴル美術館の隣、チュイルリー公園横からセーヌ川沿いに出る車専用だったトンネルも自転車専用になりました。今でも市内のあちこちで自転車道の工事が進められています。

車専用のトンネルが自転車道に

自転車購入費の40%補助を発表

 8月12日には、低所得者世帯対象に、自転車購入費の40%の補助を出すことが発表されました。
 パリは、「誰もが車を使わず職場にも子供の学校にも、15分で行ける街=15分シティ」を目指しています。24年のパリオリンピック・パラリンピックに向けて、さらに自転車にやさしい、環境と健康にいい街に変わりつつあります。

「滋賀民報」2022年10月9日号より

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