自転車がつくる未来 世界最先進地ヨーロッパより

❽列車にそのまま自転車が載せられる

とても便利な自転車、車椅子などの専用車両

日本の鉄道でも

 滋賀県では、近江鉄道で一部の路線を除いて自転車がそのまま載せられます。和歌山県の紀勢線、紀伊田辺〜新宮間でも昨年から自転車がそのまま載せられるようになりました。このように日本でも自転車を載せられる列車が増えていますが、ほとんどが乗客の少ない路線での実施です。
 西欧の多くの国々では何十年も前から、列車に自転車をそのまま載せられ、当たり前になっています。

ドイツでは、ほぼすべての列車に

 次の写真はドイツの快速列車で、自転車や車椅子、ベビーカーなど大きな荷物がある人専用の車両が連結されています。

ドイツ鉄道の快速列車(車両の横に自転車マークが付いている)

自転車用車両の中の様子

 ドイツ鉄道では、日本の新幹線にあたるインターシティーエクスプレス(ICE)を除く、ほぼすべての列車に自転車がそのまま載せられます。自転車の料金は距離や路線によって違いますが、無料から、距離が長くなると数千円程度まで。週末などには、サイクリングに行く人で自転車用車両がいっぱいになるのは見慣れた光景です。数年前から走り始めたICEの新型車両、ICE4にも自転車用の車両が連結されるようになりました。
 ただし、駅の設備は最近でこそエレベータのあるところが増えてきましたが、以前は階段の横に自転車の車輪を乗せるレールがあり、そこを押して上がるのが当たり前でした。今でもエレベータがなく、階段の横のレールすらなくて、自転車を担いで上がる必要のある駅もときどきあります。そんな玉に瑕な点もありますが、自転車を載せられるのは非常に便利です。

公共交通の利用促進に

 昨年、私がドイツに行ったときには、コロナ禍で利用者が減った公共交通の利用促進のため、1ヶ月9ユーロ(約1300円)でドイツ全土の普通列車・快速列車が乗り放題になる「9ユーロチケット」が販売されていて、私もずいぶん活用させてもらいました。そんな自転車と公共交通の利用促進策、日本もぜひ見習ってほしいですね。

「滋賀民報」2023年3月12日号より

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