サイクリストが見た、世界の自転車まちづくり・地域づくり

ドイツの「環境首都」フライブルク

2025年9月16日

 ドイツのフライブルク市は、環境政策が進んだ都市が多い同国の中でも、とりわけ先進的な取り組みで知られ、これまでに何度も表彰されてきました。そのため「環境首都」とも呼ばれています。人口は約23万人。ドイツ南西部に位置し、「シュバルツバルト(黒い森)」への玄関口となる街です。もちろん、自転車政策の先進都市としても有名です。街の様子を見ていきましょう。

 かつて城壁に囲まれていた旧市街は、一辺およそ500メートルほどの四角形のエリアで、歴史的な街並みがそのまま残されています。旧市街はクルマの乗り入れが禁止され、交通手段は徒歩、トラム(路面電車)、自転車のみ。ただし、自転車は歩行者優先で徐行が求められます。

 次の写真は街のシンボル、フライブルク大聖堂です。

 大聖堂前の広場にはテントを使ったカフェなどが並び、多くの人で賑わっていました。

 旧市街は歩行者が多く、石畳のため自転車には不向きですが、旧市街を出ると自転車の利用が盛んです。

 自転車レーンなども整備されており、写真の例では自転車レーンの外側に自動車の駐車帯が設けられていました。

 街中では自転車チューブの自動販売機も見かけました。

 中央駅にも行ってみました。こちらは旧市街とは対照的に近代的な建物です。

 駅のホームをまたぐ跨線橋の上をトラムが走っており、停留所も設けられています。

 停留所からそのまま駅のホームに降りられます。

 なお、ヨーロッパでは多くの国で駅に改札はなく、時折列車内で切符のチェックが行われます。有効な切符を所持していないと高額の罰金を科される「信用乗車方式」が採用されています。

 駐輪場は駅の裏側にあり、表側から自転車用スロープを登って跨線橋を渡ります。

 駐輪場の建物は木材を多用した円形のデザインです。

 レンタサイクルも用意されています。

 こちらが駐輪場への入口です。

 建物の2階には、ADFC(全ドイツ自転車クラブ)をはじめとする交通関係団体の事務所が入居していました。

 さらに2階からは跨線橋に直接出られ、駅のホームへも直接降りることができます。

 ただし、駅の裏にあるのは不便だということで、駅の表側への移設が検討されているそうです。

 また、フライブルク郊外にあるヴォーバン地区も訪れました。ここは住民主導で環境に配慮して設計された街区です。それぞれの建物は住民同士が話し合いながら設計・建築され、同じものは一つとしてありません。

 駐車場は家の前にはなく、共有の立体駐車場を利用する仕組みです。ただし、多くの住民は自家用車を持たず、自転車と公共交通で生活しているそうです。各住宅の前には駐輪場がしっかり整備されています。

 ヴォーバン地区では「シェアード・スペース」を示す標示も見かけました。

 シェアード・スペースとは、あえて歩行者と車の空間を分けず、譲り合いによって安全を確保するための道路デザインのことで、現在ヨーロッパ各地で増加しています。

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