サイクリストが見た、世界の自転車まちづくり・地域づくり

世界最先端の自転車都市、コペンハーゲンの自転車道

2025年12月9日

 デンマークの首都コペンハーゲンは、アムステルダムなどのオランダの都市と並び、世界最先端の自転車政策を実現している街です。この街では、通勤・通学の交通手段の約半分を自転車が占めています。

 次の写真は、コペンハーゲンの観光案内所で配付されていたサイクリングマップの市内中心部を拡大したものです。ピンクで示された道には、後で紹介するような自転車道が整備されてます。ほとんどの大通りに自転車道が整備されていることがわかります。また、オレンジの道は自転車優先道路で、ここでは車は自転車を追い抜いたり、走行を妨げたりしてはいけません。

 コペンハーゲンの自転車道は、車道や歩道と数センチの段差で区切られており、車の1車線ほどの幅があります。コペンハーゲンではカーゴバイク(荷物運搬用自転車)が多く使われていますが、それらが無理なく追い越しできるだけの幅が確保されているそうです。

 交差点では、自転車の走行部分が一目でわかるように水色に塗られています。車への注意喚起の意味もあります。

 自転車用の左折レーン(日本でいう右折レーンに相当)も整備されています。

 次の写真の場所にも右折レーンがあります。曲がる際には、多くの人がハンドサインを出します。日本のように歩道走行や逆走をする人は皆無です。そんなことをしようものなら、すぐに周囲の人に注意されてしまいます。自転車の走行速度も時速20km程度と日本より速く、多くの自転車が次々と走ってくるため、周囲の流れに合わせて走ることが求められます。しかし、だからこそ自転車が速くスムーズに移動でき、交通手段として十分に機能するのです。

 交差点手前には、信号待ちの際に使える足置きや手すりが設置されています。自転車で効率よく速く走るためにはサドルを高くする必要があり、実際に多くの人が高いサドルで走っています。そのため、このような足置きや手すりが必要になるのです。
 自転車用の信号機も当然のように設置されており、自転車に乗る人の目の高さと、さらに高い位置の2か所に配置されています。これにより、交差点手前で停止している場合でも、交差点に向かって走行している場合の遠くからのどちらでも信号を確認しやすくなっています。

 次の写真の道路は一般車両の通行が禁止されており、車道を走れるのはバスのみです。ただし通行禁止区域は一部に限られており、それによって通過交通が排除されています。

 朝夕の通勤・通学時間帯には、自転車の渋滞が発生することもあります。

 自転車の通行量を示すカウンターも設置されていました。上の数字が当日の自転車通行台数、下の数字が年間の通行台数です。

 ちなみに、デンマークといえばLEGOの国。コペンハーゲン市内のレゴショップには、レゴで作られた自転車が展示されていました。

ページの一番上へ